ホームステイの青年を受け入れて

たねのはなし

2025年の11月末から3カ月半、わが家は1人のホームステイの青年を受け入れた。

カナダからやってきたアントワン。
彼が日本に来てから3ヶ月ほど経ったころだった。
東京と新潟を経て、尾道へ。

知り合いから、誰かカナダから来た青年をホームステイで受け入れてもらえないかと連絡があった。

ホームステイなんて受け入れたことがないし、わたしは英語が全然話せない。

ためらっているわたしに、さぶちゃんは
「受け入れてあげない?そんなに気を使わなくても大丈夫だよ」
というかんじ。

さぶちゃんはアフリカに2年住んでいたこともあって、そのあたりたくましいし、なにかと人を助けたい性分。

わたしもそりゃ力になりたいけど、何かと二の足を踏まないと気がすまないのはわたしの性分。

どうしよう〜〜と数日決めかねていたら、彼はすでに尾道に来ていてカプセルホテルに泊まっているとのこと。
そんな、尾道でカプセルホテルだなんて。

よし、これはもう受け入れることにしよう!

わたしも20歳のとき、海外で自分を見つめた経験がある。
今、世界を遠くに感じてしまっている自分をちょっと変えたい気持ちもあった。
何かできることがあるかもしれないと。

彼がうちに来て、とても自然に家族のようにすごした3カ月半だった。
もの静かで、とても優しい彼。

日本の風習とカナダの風習を教え合ったり、こどもと遊んでもらったり、家事を助けてもらったり、みんなで映画を観たり、パン作りをしたり。
いろいろと共有できた時間は、わたしにとってとても貴重な経験だった。
共にあたたかな時間をすごせたことに、とても感謝している。

これまで彼が経験してきたこと、感じてきたこと、たくさん話をした。

彼と話をするのに、わたしは翻訳アプリのお世話にもだいぶなり、文明の利器にはとてもありがたみを感じた。

もちろん言葉だけが大切なわけではない。
言葉がなくても伝わるものはたくさんある。
でもやっぱり、もっと自分の言葉でコミュニケーションをとりたいな、相手のことを理解したいなと、自然に思うようになった。

彼の存在が、わたしの英語への劣等感や、世界をどこか遠くに感じてしまう感覚を、大きく変えてくれた。

今は家事をしながら毎日英語のポッドキャストを聞くのが、楽しい日課になった。

リスニングしていてわからないことも多いけど、「こうなりたい」というモチベーションさえあれば、学びはいつだってとても楽しいもの。
今からでも、絶対に遅くない。

わたしが住む向島は、世界中からサイクリストがやってくるしまなみ海道の島。
また何かのご縁があれば、海外の旅人も受け入れたい。今はそんな前向きな気持ち。

そしてアントワンは、とても素晴らしい映像を撮るアーティストでもあった。
何気ない日常の風景にぬくもりを宿すことができる、そんな映像作家。初めて彼の作った作品を観たときには、その美しさに衝撃を受けた。
彼が静かに淡々と、でも着実に映像を作っていく様子を見ていて、とても心を動かされた。

彼の映像は、YouTubeチャンネル「ERI エリ」で観ることができる。ぜひ一度、のぞいてみてほしい。

子育てが忙しいから、練習時間がない、創作時間がないと、どこか言い訳していたわたし。
「1日10分でも15分でもいいじゃない。今の気持ちを表現するのは、今が一番美しいんだよ」
と彼は言ってくれた。
その通りだと思った。
わたしも音楽の活動、作曲、勉強がんばろう。
そんなエネルギーもくれた。

彼は3月に尾道を出て、九州をホームステイしながらめぐり、また別の地へと旅を続けている最中だ。

そんな中で、彼は今、大きな挑戦を決めたようだ。
国際映画祭への映画の提出を目指していく。

彼のすてきな映像が、多くの人へ届いていくことを願っている。
映像の挑戦とともに、人としての彼のこれからも、見守っていきたい。


アントワンの旅と映画制作についての詳しい記事を、糸島でホームステイを受け入れた秋間早苗さんが書いてくださっています。
孤独の中で凍えていた彼が、なぜ”温かさ”を撮ろうとしているのか(note)


晴香

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