第2話の最後で書いたとおり、「鶏を飼いたい」と言葉にするようになっていたら、縁は巡ってきた。
ここからは、その縁の先のはなしを書いていく。
藍染めのさっちゃんという人
知り合いから、「さっちゃん家を見せてもらったら?」と、よく言われるようになる。
向島で藍染めをされているさっちゃん。
さっちゃんは、古民家を丁寧にメンテナンスしながら、素敵な暮らしを営んでいる人だった。
さっちゃん家に手放してもいい烏骨鶏がいる、そういう情報もあり彼女の家に相談に行く。
彼女の庭で烏骨鶏が移動式の鶏舎で草刈をしながら豊かに暮らしていた。
「もしよけらばぜひ、譲ってください」
勇気をもってそう伝えた。
端材で建てた、第一号の小屋
譲ってもらえる烏骨鶏のために、まず小屋を建てなければならない。
ホームセンターに通い、当時は端材コーナーで30円で売られていた端材を、買い込んだ。
初めから小屋を設計して、そこに必要な資材を購入し、カットして組み立てたのではない。
手放されていた端材を組み合わせて、形を考えていった。
パズルのようだった。
作ってみて、問題が発生し、修正しを繰り返しながら、第一号の鶏小屋が、完成した。
ぴしっとした計画書もなければ、設計図もない。
けれど、手を動かしながら考えた小屋には、自分なりの納得があった。

うさんちゃんとコッコちゃん
さっちゃんのお宅へ、烏骨鶏を迎えに行った日のこと。
さっちゃんの娘さんが、烏骨鶏の育て方を、書いて渡してくれた。
名残惜しそうな、その表情。
大事に育てたい、と思った。
うちの娘は、その光景を見て、烏骨鶏たちに名前をつけ始めた。
「うさぎみたいに白いね」
親の烏骨鶏を「うさんちゃん」、こどもの烏骨鶏を「コッコちゃん」、と。

餌やりの日々
毎日、彼らに餌をあげ始めた。
わが家の食べ残しが、別の生き物の食べ物として渡っていくのは何とも言えない喜びだった。
烏骨鶏はもともと、産卵率が高い品種ではない。プロの養鶏家が飼う品種でもない。
それでも、卵を産んでくれる日が、訪れる。
初めての卵

初めて産んでくれた、卵。
小さな、小さな、特級の卵。
感動以外の、何ものでもなかった。
巡り始めた。
耕太
連載「鶏のいるくらし」第4話へつづく


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