私たちについて

植物が自ら育つように、ゆっくり、じっくり
畑も、台所も、こどもとの時間も
わたしたちの日常は、すべて大切な学びの場
小さなくらしの営みが、豊かな未来をつくると信じて

屋号の由来

晴耕くらし舎、という名前。

夫は耕太、妻は晴香。
ふたりの名前を合わせると、「晴耕」になった。

晴れた日は外へ出る。
畑を耕し、鶏の世話をし、里山へ入り、こどもと走り回る。
雨の日は雨の日で、台所に立ち、本を読み、手を動かして知恵を出す。

「晴耕雨読」という言葉が、そのままわたしたちのくらしに重なっていた。

「舎」という字が好きだ。
一つ屋根の下で、ともに生きる場所。
家族と、鶏と、犬と。
ここに集うすべてが、わたしたちの「くらし舎」をつくっている。

焦らず、ゆっくりと、でもしっかりと。
日々の手間を味わいながら生きていきたい。
くらしそのものが、わたしたちの幸せであり、楽しみであり、学びだから。

耕太(サブちゃん)の紹介

広島生まれ。
「平和」という言葉が、子どものころから身近にあった。

10代は、その言葉を口にするのが怖かった。
真剣に語ると浮く空気。
「自分はどうしたいか」より「他と比べてどうか」を気にして、ずっと苦しかった。

変わるきっかけは、海外への旅だった。
価値観も言語も文化も違う中で、ためらわず自分の命を楽しんでいる同世代との出会い。
忘れていた問いを、取り戻せた。

教員になった。
17年間、数学と開発教育を軸に中学校の現場に立った。
青年海外協力隊でアフリカのモザンビークへ渡り、現地のこどもたちと授業をしたことも、今もわたしの根っこにある。

ただ、現場にいればいるほど、もどかしさも積み重なっていった。

「自分らしくあっていい」と言いながら、それを否定するような空気がある。
違和感を押し込み続けた先に、自分にも他人にも不寛容になっていくこどもを見た。
卒業後に心が折れた教え子もいた。

こどもは大人が思うより、ずっとたくさんのことを感じている。
その声に、もっと正直に向き合いたかった。
うまくできなかったことも、忘れたくない失敗もある。
それも含めて、今のわたしをつくっている。

向島のくらしに軸足を移しながら、どう生きたいかを考え続けた30代。
そして、畑を耕し、こどもと走り回り、Waku Waku Gakko 尾道の代表として歩んでいくことを決めた。
大きなことを言っているようで、やっていることは地味だ。
でも、その積み重ねがよりよい未来をつくると信じている。

晴香(はるちゃん)の紹介

今、わたしは4人のこどもを育てながら、日々のくらしを紡いでいる。
なるべく自分も周りも心地のよい選択を心がけながら。

音楽、食、くらし、教育。
今のわたしのテーマはこんな感じ。
違う分野のようで、それぞれグラデーションのように重なり合っている。

10代のころは、ずいぶん苦しかった。
自分の声をバカにされたことをきっかけに、感じすぎてしまう心を捨ててしまいたいと思っていた。
自分のことも、人のことも、受け入れられなかった。

変わるきっかけは、20代になってからだった。
仏教との出会い、初めての海外、そして音楽の師匠。

海外で見た満天の星空の前で、涙が溢れた。
豊かな自然の中に立ったとき、日本で毎日人間関係に苦しんでいた自分が、すっと解き放たれていくような感覚があった。
「豊かさ」ってなんだろう。
わたしは一体何に苦しんでいたんだろう。
そんな問いとともに帰国した。

音楽の師匠は、何もできないわたしをずっと信じて導いてくれた。
「まず初志貫徹してからだ」という一言に背中を押され、社会福祉士の資格を取って最初の大学を卒業し、国立音楽大学へ進んだ。

初めて人前でピアノの弾き語りをしたとき、震えていた。
終わった後、一人の人が涙を流しながら言ってくれた。
「今つらい気持ちだったんだけど、救われた気がした。」
泣きたいのはこちらだった。
生きていてよかった、と本気で思った瞬間だった。

今は自分のペースでピアノソロや合唱曲、弾き語りの作曲をしながら、小さな音楽教室を自宅で開いている。
こどもの「その子らしさ」が輝くように、「好き」を大切にしながら。

食のことは、こどもが生まれるまで正直無関心だった。
でも離乳食のだしを取るところから、発酵食品や保存食の素敵さを知って、できる範囲で手作りを楽しんでいる。
毎年味噌を仕込み、梅干しを漬け、季節のジャムをつくることが恒例になった。

くらしって、人生そのものの気がする。
あえて言うなら「気持ちのよい巡りのあるくらし」かな、と思う。
コンポストだったり、養鶏だったり、人との繋がりだったり。

でも心にいつも置いておきたいのは、「今」だけではないこと。
たくさんの感謝と反省を込めて、次の世代に渡すことを考えて。
これからも少しずつ、成長していきたい。

向島での子育て

子育ての環境を探していたころ、家族で向島をドライブした。
台風一過の午後だった。
しまなみの島々が浮かぶ海の上から、パッと太陽の光が差し込んだ。
山も近い、海も近い、市街地にも近いけど里山も残されている。
その景色に、一目ぼれした。
「ここで子育てをしたい」と、直感した。

向島でのくらしが始まり、「NPO法人むかいしまseeds」と出会った。
「こどもをまん中に、まちをつくろうや」というキャッチコピーのもと、活動される人たちに学ばせてもらう日々。
4人のこどもたちがのびのびと育っていく中で、確信に変わっていった。

こどもが自分の時間を大切にして、幸せなこども時代を送る姿。
関わる大人のまなざし。
そこに、今の社会が置き去りにしているものが、全部あると思った。

その気づきが、晴耕くらし舎の立ち上げにつながっている。

晴耕くらし舎の立ち上げ~2人の言葉~

まだ会ったことのない、子の子の、そのまた先へ。
その人たちが、この地球で豊かにくらしていけるように。
そう思うと、今日の選択が変わってくる。

わたしたちは、完璧なくらしを目指しているわけではない。
矛盾を抱えながら、それでも「大切」を見失わないようにしたい。
経済的な豊かさだけでなく、気持ちいい・よくないという感覚を研ぎ澄ませながら。

自然のリズムに耳を傾けること。
手を動かして土に触れること。
月の満ち欠けや、季節の移ろいを感じること。
そういう手間を、省きたくない。

現代の発展を否定したいわけではない。
誰かの幸せを願ってつくられてきたものへの敬意は、ちゃんと持っていたい。
その上で、自分たちの選択を重ねていく。

好きな言葉がある。
「ゆっくり、こつこつ」
出会ってから、ずっと心に置いている言葉。

くらしの種まきは、今日もつづく。